小倉料理長お薦めの料理「和牛ほほ肉のブルゴーニュワイン煮込み」


旬の野菜がたっぷり添えられた「和牛ほほ肉の煮込み」は当店の人気料理の一つです。

煮込みすぎると食感と味わいが悪くなるため、ほほ肉自体の煮込みは、それほど多くの時間をかけません。しかし、完成までに多くの時間を要する、とても手の込んだ料理です 。

まず、塩をした静岡産の牛ほほ肉を二日ほどねかせ、肉の旨みをじっくりと引き出します。
この肉を野菜とともに、フォン・ド・ヴォライユ(鳥ガラと野菜等を煮込んだブイヨン。完成までに3日を要します)とブルゴーニュワインで3,4時間程煮込みます。
ある程度煮詰めたら、一度ほほ肉を取り出して冷却し、ほほ肉のよい食感を保たせます。

ほほ肉と一緒に煮込んでいた野菜は裏ごしし、これをさらに煮詰め、肉と野菜のエキスが濃縮されたソースを作り上げます。

最後に、ほほ肉、ソースを合わせ、付け合わせの野菜とともに軽く煮込み直して完成です。

口に入れた瞬間にワインの香りが広がるほほ肉は、噛みしめるとフォン、野菜、そして牛肉自体のうまみが凝縮しています。
赤ワインとの相性は抜群であることはもちろん、見えない部分まで多くの野菜を使用しているため、とても健康的な一品です。そのあたりがご好評をいただいている理由なのかもしれません。

料理コラム 小倉料理長のソース「フォン・ド・キャナール」


フレンチの本質とはなんでしょうか。そのキーワードをあえて一つあげるならば「マリアージュ」にあるといえます。
マリアージュ(仏語で「結婚」の意味)というと、ワインと料理が組み合わさることによってうまれる相乗効果をさすことが一般的です。しかし、マリアージュという言葉を、ワインと料理の相乗効果という狭い意味だけでとらえるのは誤りです。
なぜなら、ワインがなくとも、食材同士、あるいはや食材とソースといった、個々の料理一皿一皿に、「マリアージュ」は体現されているからです。

すなわち、フレンチがフレンチである所以は、ソース、付け合わせ、メインとなる食材等、様々な素材がもつ味わいが一つに融合して、新たな味わいを生みだすところにあると考えます。

そのような考えを前提にすると、ソースを使う料理において、決定的に重要なものがあります。
それは、ソースのベースとなるフォンです。
フォンとは、日本料理でいうダシのようなものです。赤ワインソース、カルダモンソース、蜂蜜のソース、カシスのソース・・・等々、フレンチには様々なソースがありますが、それぞれに仔牛、鶏、魚などから作り上げたフォンを使用します。

もちろん、フォンを使わなくともソースのようなものは作れます。しかし、それでは上述したような「味わいの融合」は実現しません。
極端なたとえではありますが、鴨に蜂蜜をかけただけの料理や、仔牛にカシスを振りかけただけの料理を想像してみてください。もしかすると、悪くない料理ができるかもしれません。
しかし、これではフレンチといえないでしょう。そこには、カシスと仔牛のコントラストはあっても、融合はありません。
ところが、フォンを用いてカシスをソースに仕上げとそれらは融合し、新たな味わいが生まれます。
つまり、フォンは食材とソースに使用されるスパイス等を一つの味わいにまとめ上げる重要な「仲人」なのです。

さて、そのソースのベースとなるフォンですが、作り上げるには相当の手間と食材が必要です。
今回は代表的なフォンである鴨のフォン、フォン・ド・キャナールの工程を簡単にご紹介いたします。

まず、鴨のガラと香味野菜をそれぞれ炒めます。火が入ることによって風味を増したこれらの具材を大きい鍋にいれ、火を加減しながら二日間ゆっくりと煮込みます。アクと鴨の油を丁寧にとりながら煮込むのですが、2日間でちょうど小ぶりのなべ2杯分程の油が出てきます。これは、人参等の色素が油に混じりこむため、ラー油のような鮮やかな朱色をしています。

こうしてじっくりと煮込んだスープを、シノワ(=こし器)をつかって不純物を取り除きます。まずは目の粗いシノワで大きめのだしがらを取り除き、細かいシノワで純度を高めます。
最後に、スープを再び火にかけて、煮詰めていきます。もちろん、このときも細かいアクが出てくるので丹念にすくいとります。おおよそ半日煮込んで完成です。

フォンを自前で用意しないレストランが多くなってきている中、Burgundyの厨房では基本に忠実に、精魂こめてフォンを作り続けています。こうした見えにくいところにまで力を注ぐことによって、素晴らしい「味わいの融合」が初めて実現されるのだと考えております。

2008/8/3

小倉料理長おすすめの料理 「パテ・ド・カンパーニュ」


● 小倉料理長おすすめの料理 「パテ・ド・カンパーニュ」

5年間のフランス修行中、パリの恩師宅に招かれた時に戴いたパテ・ド・カンパーニュは、私の料理人生の中で忘れられない料理の一つです。
しっとりとしたパテを噛み締めると、いろいろな豚の部位が渾然一体となって、ひとつのハーモニーを奏でる。丁寧な仕事が感じられる逸品でした。
そんなフランス時代の思い出の味わいを「Burugundy」で再現いたしました。

当店では、肉質が柔らかく、なめらかな舌ざわりが特徴の岩手県産『岩中豚』を使用しています。
これを数種類のハーブで一日じっくりと漬け込みます。
ハーブの詳細は秘密ですが、生ハーブと乾燥ハーブを組み合わせることにより、奥行きのある香りを得ます。
香りづけした後、甘みと色合いを損なわない様にゆっくり火を通した香味野菜と大山地鶏のレバーを混ぜ合わせます。テリーヌ型に詰め込んでオーブンで焼きあげ、一晩寝かせたら完成です。

手間を惜しまず丹念につくりあげていることもあって、皆様からご好評を頂いております。
しっとりとした舌触りと豊かな風味が口いっぱいに広がるパテ・ド・カンパーニュを、ぜひお試し下さい。